第14回
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■ 最初のことば

 気が付くと二歳になっていた。二歳と言えばしゃべり出す時期であるが、うちの子供はしゃべるのも遅かった。

同級生の女の子はペラペラしゃべっていたりする。そういうのを耳にするととてつもなく不安になる。男の子はしゃべりだすのが遅いらしいが、うちの子だけが特別なのではなかろうか。ついつい周囲と比較してしまうのだ。

 マンションの隣のご主人はギャンブルが好きである。そのお子様は「ぱちんこぱちんこ」が口ぐせらしい。街中で突然「ぱちんこぱちんこ」と連呼され、お母さんはとても恥ずかしい思いをしたことがあるとか。

 職場の同僚は酒好きである。そのお子様は「かんぱい」が口ぐせらしい。蛙の子は蛙なのだ。

 うちの子の第一声は何なのだろうかと気をもんでいたが、実にノーマルに「ママ」が第一声であった。「パパ」でなくて、「ママ」でも何でも十分だ。とにかく、しゃべれたのである。ああ、よかった。よかった。

 そのうち、「パパ」とも言ってくれるようになった。佐賀のおばあちゃん、おじいちゃんは「ばあば」、「じいじ」。熊本のおばあちゃんは「マー」。ここまではいい。しかし、おじいちゃんは「パー」。。。パ、パーッて。。いいのか、じいちゃん、「パー」で?しかし、この執筆時で7歳になっている子供は未だにじいちゃんをパーと呼びつづけている。。。いいのであろう。

 そのうち、「バイバイ」も言えるようになった。しかし、その発言時のジェスチャーはかなり微妙であった。手のひらを、時計に向かって時計の50分の方向に向けて、その手の平を含む平面にそって平行に移動させるのである。子供を正面から見ると、手のひらをほっぺたに向け、斜め45度で移動させている。つまり、宮尾すすむの「社長!」のポーズであった。その異様な「バイバイ」は多くの人から苦笑を得ていた。

 しばらくすると、会話らしい言葉も発するようになったが、ここで問題が生じた。何を言っているのかがよく分からないのだ。しゃべり出した子供にはよくあることかもしれない。最初はカタコトのセリフだから。しかし、うちの場合は普通ではなかった。なんと、日本語と英語の中間のような言葉をしゃべることがあったのだ。これは明らかにdisneyの影響であった。かつ、その頃には英会話教室にも通っていた。日本語もロクにしゃべれない頃ではあったが、妻の方針で決めたのだった。disneyはインプットだけである。実戦の場としてアウトプットが必要だというので。

 周囲では怪訝そうな顔をして「英語教えるのやめたら?英語だか日本語だかよくわからない言葉しゃべっているみたいだけど、、」と忠告する人まで現れた。心配になった私は、私の習っている英会話教室の先生に相談した。

 彼は「迷わずに続けなさい。普通の子供はそんなに早くから英語を勉強していないからそういうことにはならない。誰もが英語を最初にしゃべるときも日本語をしゃべるときにもカタコトだ。周囲が両方しゃべれる子に慣れていないだけだよ。気にするな」と私に助言した。福岡で有名な幼稚園でも教えている彼なので信頼することにした。

 ただ、普通ではない状況に不安ではあった。そして、こんな不安な状況の中、いよいよ三歳へ、、幼稚園の入学を検討することに。そこで、妻は更なる驚くべきカードを用意してきた。

 

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