第13回
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■ 怪獣出現

 同級生の女の子は既に一歳の時に歩いていたが、うちの子供はまだだった。「他の子はできるのにうちはできない」というのはとても不安だ。だが、その子の母親から「歩くのは遅い方がいいのよ。歩いたら大変なんだから。。」「大変なのはこれからなのよ」と言われていた。

 それが理解できたのは、子供が一歳を過ぎ、ついに歩き出した時だった。「ぉぉ!ついに立った!歩いた!」喜ぶのもつかの間、リビングでこけてフローリングの床で頭を殴打されまくる子供。こりゃー、このままでは頭骸骨陥没まっしぐらだ。馬鹿になったら大変。慌ててフローリング用絨毯を買う。

 やっとあんまり倒れなくなったかと思うと、子供は”怪獣”に変身した。ヒーロー物に登場する、ビルや建物を壊滅させる怪獣のように手に届くあらゆるものを荒らしてまわるのだ。

 ある晩帰宅すると、妻が子供に怒り狂っていた。寝室の真っ白なカーペットが真っ赤に染まっていたのだ。口紅をクレヨン代わりに使い、静かにたたずむ怪獣。「わたしのシャネル(口紅)があああ。カーペットがあああ」
 妻をなだめながら、雑巾にサラダ油を浸しカーペットを拭き始める冷静な私。こうすると汚れがとれるのだ。しかし、未だにその痕跡はカーペットに残っている。マンション備え付けのカーペットで床から剥がすことができないのでこれは結構痛かった。

 またある時、怪獣は炎を吐いた。いや、正確には炎が高く舞い上がるほどガスコンロを全開としたことも。それ以来、台所には怪獣が侵入できないようにバリケード、もとい、柵を作った。台所に入るたびに「プチハードル」を超す必要があり面倒だった。

 物事の善悪の判断がつかないので、しかっても、理解できずにいる子供。厳しい口調で怒ると、わけもわからずに泣き出すので、優しく諭すと、反省どころか笑い出す子供。
 子育ての道は険しい。しかし、少年犯罪の報道に麻痺しつつある今日この頃は身がひきしまる思いだ。Mr.childrenの「タガタメ」(以前のカップヌードルCM曲)が何度も頭の中で反響している。自分が感じるくだらない人間の言動を反面教師としよう。
 

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