第12回
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■ 共犯者

 気が付けばもう年の瀬。今年は身内に不幸があったために喪中葉書を何とか出しまくった。テレビでは「白い巨塔」スペシャルが。確かに面白いドラマだったと思うが、ちょうど同時期に放映され、これと同様にインパクトのある作品を私は思い出していた。それは、「共犯者」。

 ひとことで言えば、キャスト、映像、音楽全てがよかった。悪かったのは10%そこそこという視聴率ぐらい?(^^;)。主演・浅野温子の相変わらずの演技はどうでもよいとして、三上博史がすばらしすぎた。一昔前のトレンディドラマの俳優というイメージしかなかったのだが、狂気めいた演技で彼の底力を見せつけられた。彼がいたから成り立った作品といえる。恥ずかしながらファンになってしまいました。佐野史郎や石橋蓮司、それに吹越満が脇を固め、意外と池内博之もよかったり。斬新な映像(目のどアップなど)や映像切替の展開も目を見張るものがあり、音楽もオープニング、エンディング、効果音すべてよし。

 「共犯者」ではスピーディーな展開の中で死人が次々と出てしまう。その頃は「砂の器」も放映されていたのだが、思わず「砂の器では死人ってたった一人?」などと感覚が麻痺して感じてしまうほど、恐ろしいドラマなのだ。

 謎が謎を呼ぶスリリングな中で最終話を迎えたところ、コアでマニアックなファン達からは「これは●●●●●●●のパクリじゃないか!」と猛烈な批判をあびた。●●●●●●●とはアメリカの超人気男性俳優主演の映画で、私は既に見ていたのだが、最後までそのオチに気づかなかったし、とにかく作品のバランスがすばらしかったので特に気にはしなかった。ちなみに嫁さんはカラクリに途中で気づいたようだったが、それでも十分に楽しめたらしい。

 冷静にストーリーを振り返ると矛盾した点にいくつか気づくのだが(これに関しても制作側は「時間軸のズレ」と表現していた)、まぁ、ご愛嬌だろうと受け止めている。最近読んだ「黒猫の三角」という推理小説は、語り手が一部ウソをついていたというとんでもないストーリーだった。最近は何でもありかなと。

 しかし、怒りを覚えたファンたちは「共犯者」の脚本家のサイトに攻撃を始めた。そして、それに対してその脚本家が丁寧にも「私は脚本を書き上げた後で、三上博史さんからの指摘を受けて●●●●●●●を初めて見た」と弁明をしたものだからファンの怒りは倍増し、様々な掲示板で悪口が散見されることになった。
「才能がないやつの作品など二度と見ないぞ」という主旨の発言もあったので、ちょっと待てと言いたい。

 では、すばらしい日本のドラマって何だろうと考える。オリジナリティに乏しく、パクリどころか「白い巨塔」に代表されるようにリメイクという名のもとに、昔の作品をそのまま使っているだけじゃんといいたい。

 もっと言えば、オリジナルって何だろう?それを作り出すのがどれだけ大変なことか批判する人たちにはわかっているのだろうか?新入社員の時、私のような凡人は研究所で特許を出すのにはとても苦労した。そこでは、既にある技術からプラスアルファの要素をくっつけるだけでも立派な一つの特許として認められる。でも、その積み重ねで技術は発展しているし、すばらしい発明が生まれることも。

 懇意にしている某国立大助教授と先日お酒を飲んだ時に、オリジナリティを生み出すことの難しさを語っていた。前述した通り、凡人には既にある技術を真似つつ発展させるだけでも大変だということ、全くの異なる観点から新しい技術を作り出す難しさを。普通はなかなかできないことなんだと。

 芸術と技術という違いはあるものの、共犯者の脚本家を批判する人たちから言わせると、様々な特許や論文もパクリに過ぎないのだろうか。

 仮に共犯者がパクリであったすれば、それは勿論許されないことだし、怒る人は彼の作品を今後見なければよい。ただ、ネット世界の心無き書き込みには本当に頭にくる。自分達の無能さを棚に上げて、脚本家に才能がないなど批判するのであれば、今後脚本家がどんなにすばらしい作品を作ろうとも非難した人々は見る権利はないと言いたい。 


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