第6回
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■ 梅雨明け

 病院から帰ると妻は号泣していた。この六月の梅雨を連想させるような滴。「大丈夫。大丈夫」と声をかけるだけの私。大丈夫かどうか自信もないのにただ、ただ、つぶやくだけだった。生後2週間ぐらいだったろうか。「斜頚ですね」と診断された。斜頚とは、首の片側の太い筋肉にしこりができて、首がしこりの側に傾き、そちら側に顔を向けようとしても向けられない状態を指す。確かに触ると首元にしこりがある。筋が腫れあがった感じ。1才半を過ぎても自然に治らない場合は手術でしこりを除くことになるという。首元の手術だなんて。。と妻は泣き出したのだ。

 しかし、自然治癒することもあるという。寝る時には、斜頚のある側を上にして横向きにして寝せるようにすれば治りやすいとアドバイスを受けたので、ひたすら実践することとなった。

 ろくに寝返りもできない時期なのだが、思ったようにずっと同じ横向きのままは寝てくれない。
。敷き布団に段差をつけて常時横向き体勢にさせるつもりも、気がつくとあおむけだったりする。強引に横向きにする。おちおちこちらも寝ていられない。根性で持久戦に挑む日々が続いた。

 地下鉄唐人駅からちょっと北の方角、歩いて福岡ドームに向かう途中にこども病院がある。診断されてから数ヶ月が過ぎた。審判の時だった。ただ、判決はあっさりと下された。「完治しています。もう大丈夫ですね」よかった。斜頚、治るもんなんだ。努力の甲斐があった。本当によかった。梅雨が明け、日本晴れの季節となった。読んでいる方には物足りないぐらいのあっけない結末で恐縮だが、健康が何より一番。僕らはますます幸せだった。


 そういえば、気がつけば世の中はW杯一色。。。ということで思い出した話題を一つ。昨年の2月にふと立ち寄ったスポーツ店での記念写真がこれ。当時、彼はJ2に降格した浦和レッズにいて、NIKEのイベントで天神の「スポーツのハヤカワ」に来ていた。そして、「NIKEの5000円以上のグッズを買えば先着二十名様に限り一緒に写真がとれます」という看板が。

 彼が登場するまで1時間以上も待たなければならなかったが、サッカーファンの妻は興奮し、絶対に自分で着ないようなNIKEのウェアを選び始めた。それならば、と私が代わりにテニスシューズを買ってもらうことになり(ラッキー)、ためし履きをしていると、「何でもいいから、早く買って!先着順なんだから!!」を無理を言い出す始末。急いでシューズを選び、結局何とか二十名に滑り込むことができたのだった。

 
 トークショーの後、いよいよ記念撮影。彼はとても好青年で、低姿勢で神経が細やかという報道どおりだった。身長は公称175cmということで高いわけでもないだろうが、肩幅が広く、ガッチリ。子供好きのようで、一緒に写真を撮るときに、「子供を抱きましょうか?」と提案してくれた。しかし、子供は熟睡中。ここで彼にバトンタッチすると、目覚めて泣き出すのが目に見えていた。せっかくの記念写真で泣き顔が写るのも、、涙を呑んで丁重にお断りし、パチリ。せっかくだから前を向けるべきだった。。。撮影後には握手をしてもらい、妻は「世界で頑張ってください!」と声をかけていた。
 
 
 そして数ヶ月後にフェイエノールト移籍が決まり、今では日本代表としてピッチに立っている。今度のナイジェリア戦も先発だろうか?とにかく頑張って欲しい。
   

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