第5回
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■ 新年の打ち初め

 2002年1月1日午後1時、電話のベルが私を揺り起こした。寝ぼけた状態で受話器を握ると、Kさんから「寝ていたの?でてこんの?」との返事。
「でてこんの?」とは、テニスコートへの誘いである。元旦からテニスをしようというのか。
「え?でも、確か午前中、雨だったんじゃ。。」
朝八時に微かに目が覚めたとき、外は薄暗く雨が降っていたはずだった。クレーコートなら普通はできないだろう。
「うん。確かに水溜りはできているけど、スポンジで吸い取れば何とかなる。江口君がでてくるならDさんも誘うけど。。」
「わかりました。10分後に家を出ます。で、メンバーは他に来るんですか?何といっても元旦だし。。」
「じゃ、江口君、悪いけどSさんを誘ってくれんね?よろしく。じゃ。。」

 一方的に頼まれてしまい、申し訳無さげにSさんを誘うと、驚いたことにSさんもくるという。しかも、電話を受けて30分後にコートに到着した私が最後の4人目だった。なぜ正月から皆こんなに元気なのだろう。しかも寒く手がかじかむ中、スポンジを手にして、土のコートに溜まった水を一生懸命吸わせてコートの外へと退避させている。何という根性。。。

 泥遊びをしたかのように両手を真っ黒にさせながら30分ほど格闘していると、徐々に快晴になってきた。「そろそろやろうか!」ボールがコートで跳ねるたびに水をすいこみ、弾みはすこぶる悪い。「ボトッ。ボトッ」しかし、4人とも決して止めようとはしなかった。


 このコートは私有地にあり、それを皆でお金を出し合って使わせてもらっているというクラブだ。きっかけはSさんが経営する居酒屋で声をかけられたことだった。「テニスするの?よかったらうちのクラブおいでよ!資金難で困っていてね。。」結構強引な勧誘だったが、皆のレベルは高いし、公営や民間のコートとは違い、予約なしで好きな時に利用できるのが気に入った。今では月に2、3回このコートに足を運ぶ。子供や妻と一緒に来て、仲間に子供をみてもらい、その隙に妻と試合をすることも。

 年齢層は幅広く、今日は来ていないが、年長者には70過ぎのおじいさんもいる。さすがにパワーヒッターではないが、絶妙なコントロールがある。テニスを一つのライフワークにしている私にとって、年をとってもあそこまでやれるのかと、大変励みになる。テニスとは私にとって。。。一言でいうのは難しい。テニスが未熟な私にとってストレスの一大元凶なのだが、うまくいけばスカッとする清涼剤のようでもあるし、その後のビールは死ぬほどおいしいし、健康に生きていくための運動不足解消の手段には違いない。それに何の分野においても言えることだが、人との出会いの場である。いろんな人とつながりができた。妻と出会ったのもコートの上だった。


 元旦にテニスをしたのは、さすがに4人とも初めてだった。しかし、テニスへの執念に長けた何とすばらしい人達だろう。試合は、上手なKさんと組んだおかげで2−1で勝つことができた。今年は幸先がいい。そう思って今年を乗り切ろうと思う。気がつけば1/8現在で既に三回もテニスをした私である。

*おことわり
子供以外のことを書かせて頂くこともあります。次回は前回の続きを。。


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