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第3回 | |
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| ■ 星の誕生 5/9、午前九時。福岡市のとある病院に向かう。部屋に着くと、産気づいた妻と、義理の母が。 予定日より遅れ、子供が十分な大きさに育っていたことから陣痛促進剤による出産を迎えようとしていた。「陣痛、始まったみたい」さっそく薬が利いていた。 気になったのは妻がベッドの上で誓約書を書かされていたことだった。 ![]() 午前十一時。「様子をご覧になりますか?」 「でも、あの子はしっかりしてたわね。びっくり」と、義理の母。 午後一時、看護婦さんが部屋へ。「もうそろそろです。ご主人、立ち会いませんか?」 しかし、午後一時半をまわっても一向に看護婦さんは部屋にやってこなかった。 「まだかな?」「遅いわね。。」遅い。確かに遅い。おかしい。。一体、何が。。不安と期待、いろんな思いが駆け巡る中、二人でじっと待つ。 ![]() 何故だか僕は18の時の春、大学受験の合格発表のことを思い出していた。もちろん、今回の出産の方が何十倍もドギマギしていた。なぜその事を思い出したのだろう。きっと、「緊張する場で、何らかの結果が下される場に自分以外の人がいた」というシチュエーションが重なったためだったのだろう。今回は義理のお母さんが横にぴったりといた。もし何かあっても私が取り乱すわけにはいかないのだ。 結果は合格で、私は合格者発表の掲示板の前でアメフト部に胴上げされ、男性コーラス合唱団に囲まれて「江口さん、おめでとー♪、おめでとー♪ワワワワァー♪」と歌のプレゼントまで頂いた。 ![]() |
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通りがかりの看護婦さんを呼び止める。「あの、まだなんですよね?」 「えええっ!!」 でも、まだ二人の顔を見るまで安心はできない。「面会はできませんか?」 |
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| ------そこには生まれたばかりの星が存在した。五体満足だった。妻も無事だった。それで充分だった。とっても、とっても疲れていたので生返事しかしてくれなかったが体に支障はなさそうだ。子供の外観はどうだろう。うまれたてで、猿に似ているような気がした。どっちに似ている?うーん、どちらでもなく、やっぱり、猿に似ていた(笑)。でも、どうでもいいことだった。体中の力が抜け、やっと、「よかった。。。」と義理の母との間に笑顔がうまれる。果てしない脱力感の中、恐らくその瞬間だけは僕らは世界一の幸せ者だった。 | ||||
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