第2回
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■ 星に願いを

 「ベイビーちゃん、あれが象よ。お鼻が長い動物なのよ」場所は福岡市動物園。妻は嬉しそうにお腹の中の”ベイビーちゃん”に語りかけた。
「はぁ!?まだうまれてもないのに何言いいよるの?見えるわけもないのに。。」思わずつっこんだ私に、「あなたは何もわかってない」と切り返す妻。「胎教って大事なのよ。とても」

 うーん、そうなんだろうか。そういえば家には「IQの高い天才児はこうしてうまれる」などといった本があった。その親になぜ天才児が生まれたのか、との問いに「お腹にいる時からずっと語っていろんなことを教えてきたから当然です」と答えたという。

 妻は目にするものにも気を使っていた。元々ホラーなどが好きだったのに、映画やテレビなどでは残虐、ショッキングなシーンは一切見なくなっていた。子供に悪影響があるらしい。浴びるほど飲んでいた酒も当然やめていた。

 出産方法にもこだわりを見せ、ソフロロジー法による出産を選択。ソフロロジー法とは、ラマーズ法に比べると割と新しく、ヨガなどを取り入れた考え方で、呼吸法やイメージトレーニング、エクササイズを行うことでお産の不安を解消し、前向きなお産に臨む方法らしい。そのソフロロジーを行っている数少ないその病院を選び、実家に帰ることなくその病院で産む決意をしたのだ。

 そのイメージトレーニングのため、私も、CDを寝るときに毎晩、毎晩聞かされた。
「出産というものは決して楽なものではありません。しかし、あなたは待望のかわいい赤ちゃんに会うことができるのです。さぁ、あなたはもうすぐ出産を迎えます。。。さぁ、体の力を抜いて、腕、足、肩、首、少しずつやわらげていきましょう。。。」
何とも怪しいCDだが、当時は妻は一生懸命聞いていたし、私の耳にもいやおうなしに入ってきていた。聞いているとこちらも眠くなってくるので割とよい”睡眠剤”ではあったのだが。
今ふりかえると、妻は勉強家だったのかなーと思う。何かを始めるときには必ずマニュアル本から入り、下調べをする。そーゆーところ(だけ)はA型なんだよなー。


 2、3ヶ月目にはつわりが大変そうだった。たまに経験していた二日酔いどころではなかったようだ。料理を作る気力が無く、ろくなものを食べていなかったのでこれじゃいかんと実家に戻したのだが、まるまると太って帰ってきた。通常はつわりの時には食欲が無くあまり食えないらしいのだが、妻の場合には「胃に何も入っていないと辛い」というつわりだったのでひたすら何かを食っていたようだ。妊婦は太って当然と私は思っていたが、「あまり太ってはいけません」というのが最近の産婦人科のいうことらしい。出産までに元の体重から10キロプラスまで押さえなければいけないという。小さくうんで大きく育てろ、ということか。そのため、安定期を過ぎれば運動のために積極的に外へと出歩いていた。体重を抑える為に医者から「歩け。歩け」と言われるので妊婦仲間をいつのまにか作り、天神でブラブラしてランチをとったり。。「結局食べとるんやないかい!」という感じだが、スイカをまるごとお腹に入れたような妊婦5人が一列に並び天神の街中を歩き、輪になってランチをほおばる姿はかなり人目をひいたことだったろう。

 段々とお腹がでかくなる。ひたすらでかくなる。よくここまで人間の皮は伸びるなーと感心するぐらいお腹が出るもんだ。10キロ近いものがお腹に入るほどに。。。本当はへこんでいるはずのへそは正に”でべそ”状態に。当然服が着れなくなる。マタニティドレスは結構高い。店によりデザインもいまいち。。ということで専らインターネットで中古を入手していた。やはりいいものが安く手に入る。どうせすぐ着なくなるし、おすすめだ。ところで、私の出産前の仕事といえば、名前を考えることだった。親が子供の性別を医者に敢えて聞かずに、それを知るのを楽しみにする場合もあるが、医者が「立派なものがうつっています」とえらく積極的に情報を伝えてくれたもので、男の名前一本に絞って考えることができた。画数の外画、内画、その他がすべて大吉になるように。。。。。僕らの星の名前は決まった。ベビーベッドも買った。後は誕生を待つのみだった。(注:写真は安価に入手したマタニティパジャマで、決して本人の趣味のデザインではないということです)


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