第8回
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■ 日立鉱山電車廃線跡地紀行3

 かなり昔に取り壊されてしまったが、鉱山電車跡地のすぐ前には日立東宝と日立東映という2軒の系列映画館があった。ウチの両親はその映画館で知り合ったという。つってもナンパとかではなく、働いていた。
 私も小さい頃、毎日のように映画館に行っていた。便所がすげえ、臭かった。当たり前だが、ずーっと映画がかかっていた。あと昔は、上映中の音を映画館の外で流してた気がする。東映と東宝の間に従業員用の路地があり、私はよくそこで遊んだ。誰もいないのに映画の音だけが聞こえてきて怖かった。
 自宅の記憶は全然ないが、映画館のことや周辺の飲み屋街のことはくっきり覚えている。なので、新横浜の「ラーメン博物館」に行った時は、懐かしさのあまり泣きそうになってしまいましたよ。

【謎の合体墓】

 まずは廃線跡を北へ、鉱山方向へたどってみることにした。国道6号線を渡って市役所の裏のほうへ。
 この国道6号という道、東京付近では「水戸街道」という名だが、日立では「ロッコク」と呼ばれている。漢字で書けば「6国」か。なんで「ロクゴー」じゃダメなのか。ナオンとシーメみたいなジャズ用語なのかもしれません。
 でも見た目には特にジャジーな雰囲気もないロッコクを越え、あんまりアテもないけど山に向かって歩き出した。


 そしたら日立電線工場の裏に墓地があった。寺はなく、墓だけがある。とりわけ目立ったのは、ナニか塔みたいな4mぐらいある小山だ。近寄ってみると、その塔は墓石をコンクリで固めた合体墓だった。
 墓石には「享保」とか「寛政」とか書いてある。もはや無縁仏となった墓をまとめたのだろうか。こんな形にせんでも……。

 不気味なので早々に立ち去り、さらに北へ。すると、元鉱山住宅だったのでは? とおぼしき古い住宅群があった。今は電線工場の社宅になっているようだ。
 公園というより空き地って感じの場所は、だけど、鉄棒やブランコがあって公園なんだなとわかる。その鉄棒も、鉄棒のすぐ前に鉄棒があったりして、どうやって鉄棒したらいいのかよくわからん。鉄棒じゃなくて段違い平行棒なのか?
 なにか土地全体がヤブカラシに精気を吸い取られてるみたいな、ぱっさーと乾いた空気。しかも道路に血まみれの鶏の足がいくつもいくつも落ちている。
 な、なんだここは。ブレアウィッチか。「長居無用」という無言の警告を受け止め、駅へ向かって歩き出した。




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