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第20回 | |
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| ■素直な俺になりたい 『無駄な包装を省略し、おいしい生醤油で味付けしました』『国内産小麦だけを使い、こんがりと焼き上げました』『染料を使わず自然なままの感じを出しました』 無汁し猟品のコーナーで、商品に書かれてある能書きを見ていると飽きないので、ひなまときは良く行く。手にとって、『なるほど、この鉛筆は、包装を簡略にすることで、単価を切り下げて安く提供しているのだろうか』などと感銘し、納得した上で、ついつい買ってしまうこともある。 |
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しかし、根がひねくれ者なので、毎日のように通って、熟読をすすめているウチに、無用な詮索や、疑念を抱いたりして、素直になれなくなってくるわが身が嘆かわしい。 『素材には生醤油だけぢゃ、うまそうな色が出ないのでカラメルで着色し、うまそうにみせかけて、おまけに袋の印刷代を省略したことを手柄顔に表示して、市販品より割高にしました。ありがたいだろう、てめえら買って行け』 『国内産小麦も海外輸入小麦も、どっちも農薬くらい使っているだろうが、国産小麦と強調するほうが、なぜだか売れるので、わざわざ印刷して表示することで、ありがたがる人々に通常よりも高めの価格設定をしました』 『染料を使わないので、染料代が節約になる上に、そのことを自慢することで、さも健康志向に迎合している立場を主張できるので、一石二鳥で、しかも通常商品よりも高めに設定しても買って貰えるようになりました』 などと、書かれてあることを素直に受け入れずに、勝手に頭の中で、極悪な裏読みに変換して受けとめてしまっている自分が、まったく恥ずかしい。 |
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これまで感銘しながら、毎日のように手に取っていた同じ商品の説明が、呪いたくなるように、すーらすらと裏読みするようになってしまうのである。 『たかがポテトチップスにまで、えらそうに製造工程の説明と講釈することで、喜んでかってもらえるので、自慢表示の部分を大幅に増やしてみました』 『自転車などの機械製品も、金属面への塗装を省略することで、簡素なイメージを消費者に植え付け、商標イメージやブランド志向に懐疑する消費者の一グループに、さりげない共感を得る目的を達成し、実は割高な価格設定でも、喜んで買って貰えるような、ノーブランドを装った新たなブランドの創出に成功しました』 などと、際限なく裏読み変換モードが働いてしまい、参っている。どーして、俺は素直に、この商品の説明書きが受けとめられないような、ひねくれた人間になってしまったのだろうか。 こんなことではいけない。初心の素直な気持ちを失った、己の邪心邪念を、屈服させなければ!そう思いつつ、きょうも昼休みに通りかかった、無汁し猟品のコーナーで、邪念払拭のために、商品説明を熟読する、きょうこのごろである。 |
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