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第3回 | |
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| ■ 至福の時間 餌付けしてしまった、近所のメスの野良猫の腰をもんでやると、うっとりすることに気がついたのは、いつごろだったろうか。 最初は、「猫だって、猫背で歩いているのだから、腰とか背中とか疲れてるよなあ」と思い、背中から腰にかけて、指圧してあげて、もみほぐしていたのが始まりだ。 そのうちに、餌をやらないときにも、野良猫は、僕の姿を見つけると、一直線にやってきてごろごろ横になり、されるがままにマッサージと指圧をうけて、なんだか、心地よさそうなのである。 ![]() 人間の自分がされたら気持ちいい場所を選んで指圧している。猫はごろごろなんちゅうもんでなくて、もう、心身ともにすべての運命を僕にゆだねてしまったように、目を細めて、至福の表情なのだ。 指先の加減もすっかり把握してしまったので、猫の壼をぐぐっと指圧すると、猫は、うっとりと夢心地なのである。 発情期のある日のこと。僕のメス猫は、けっこうな美形なので、たくさんのオス猫から求愛されて大変だ。この日も、ぎゅううううううううむ、ぎゃああああああああむ。とか発情声を発する一匹のオス猫に迫られていて、求愛を受けるかどうか、切羽詰まった恋愛のまっただ中のところに、会社から戻って来た僕と出くわした。 ![]() いつものように心身ともに投げ出して、マッサージをせがんでいる彼女はいいとして、俺には、敵意むきだしのオス猫の視線が痛いほどに突き刺さってくるのである。 とほほほほほおほほほほ。何が悲しいといって、オス猫に嫉妬される俺ほど悲しいものはない。せめて彼女が美形の人間の女性であったらなあ。。。 そうは思いながらも、メス猫の安心した表情をながめていると、彼女が喜ぶように、適度な加減で指圧している自分がいるのである。 ![]() |
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ちなみに「至福の表情」って、どんな表情なんだろう。人間様の至福さを写真撮影する機会はなかなかないけど、動物ならたまにある。差し出された両手に顔面を委ねる瞬間というのは、かなり至福かもしれない。たとえば、この写真の犬のように。幸せな両手に包まれて! ああ、疲れ果てた僕の顔面にも「至福の時間」を生む両手を!誰か差しのべてくれえええええええ。 |
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