第14回
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■ タツロー・ヤマシタ再考/最高計画

 黄金週間真っ只中の現在、非常にいい気候でござんす。
 ちょいと風が強いのがご愛嬌だが、結構な陽気でいて気温的にも暑くもなく寒くもない快適さ。いい感じです。これでは、おのずと気分も良くなろうというものです。ええ。
 最高の外出日和って感じで、余暇を散歩やスポーツなどで費やしたい健康的な感じです。こういうときにチャリンコでかっ飛ばすのが、また気持ちのいいこと。
 あたかもシーツのような感触の、ほの温い強い向かい風。「風の中」を泳いでいる感覚。空気ってのがこんなにも肌に感じられる瞬間。
 鼻腔をくすぐるのは、緑の匂い。春の匂いってやつかな。初夏目前って感じで、気持ちがウキウキしますわー、ええ。
 外出も結構だが、こんな素晴らしき良き日のインドアな過ごし方は、窓という窓を開けっ放し、舞い踊るカーテンをぼんやり眺めながらボーッと、もしくはホケーッとするのも可。コーヒーとか、飲りながら。
 そんな時におすすめBGM。しごく私的なチョイスですが、やっぱり『山下達郎』大先生でんがな。どうですか、この掴みは。
 もっと他のチョイスもあるだろうって? 今流行りのR&Bとか、そんな具合の。
 然り。だが俺は、これが、いいんだ。
 もはや、これ以外に考えられない感じ。と、いうのも小生は小学生のみぎりから山下達郎を聴いているのですわ。愛聴というほどに。タツロー・ヤマシタ歴には自信があります。ナイアガラ時代は存じておりませんが。
 山下達郎といえば、「クリスマス・イブ」だ。定番だ。動かし難い存在だ。
 日本でクリスマス・ソングの雄といえばこれをおいて他にないのではないか。11月下旬となり、12月に入って「いざ鎌倉」という時期には、クリスマス商戦と一緒に戻ってくるのが、我らがタツロー・ヤマシタなのだ。クリスマス・ツリーとセットでついてくるといっても過言ではないほどの日本の欠くべからず冬の風物詩なのだ。文化遺産なのだ。
 が、我らがタツロー・ヤマシタは、それだけの存在ではないのは言うまでもない。
 ジャパニーズ・ポップミュージックの至宝、重鎮。独自のスタイル、オリジナリティ溢れるナンバーと歌声は多くの人々を魅了している。こだわりの職人気質。ニューミュージック界の天才。呼吸する音楽創造マシン。
 彼に代われる存在はいやしない。それほどの、まさにミスター・ミュージシャン。竹内まりあの旦那さん。
 ギターつまびきつつ、「うおっほー」
 外国人にも、タツロー・ヤマシタの歌が好きな人は多いらしい。その実力は、世界標準。
 ここ近年、山下達郎は熱くなっている。少なくとも、俺はそう思っている。ブームっていうにはちいとばかり「おしとやか」めで、かといって密かなブームって呼ぶのは適当じゃない。適当かも知れんが。まあそのくらいの盛り上がりぶりだとは、思う。
 わかっている、わかっている。われらがタツロー・ヤマシタ、山下達郎という得難い存在はオールタイムに世間で愛聴されているサザン、ユーミンらと比肩しうるほどの(俺はそれ以上と断言したい!)「定番」であるし、今や世代を超越したものだ。ジェネレーションを問わず、幅広い年齢層に聞かれている。
 その人気は定着し、コンスタントにヒットを飛ばす。
 しかし、あえて、ここ最近プチ熱いと言いたい。
 去年を省みれば、TBCのCMだ。
 あのキムタクが、出てた奴。恋人との日々の一コマを切り取った・・・と、いうようなシチュエーション。そのCMで、キムタクが歌っていた曲に驚いたものだ。
 アルバム「MOONGLOW」等に収録、名曲「愛を描いて レッツ・キス・ザ・サン」、なのだ。知らない人すいません。
 しかもキムタクの歌のみ。ほかの音何一つなし。なにげに口ずさんでいる、みたいな。
 今の若い衆で、この曲を知っている人はあまりいないのではないか、ファンはもちろんだがアルバム持っている人とかじゃない限り。普段テレビとかで露出する曲ではないのだ。
 びっくりした。
 速攻、レンタル屋でCD借りて聴き直しました。
 ご経験はないだろうか。以前死ぬほど聴いていて今では疎遠になっていた曲でも、テレビとかラジオとかでふとしたきっかけで改めて耳にしてみると、また愛情が蘇ってくるものなのだ。「やっぱいいわ」みたいな感覚で。
 おまけに、自分が知っている曲が別のアレンジで出てくるのを聴いてみると、オリジナルに対しても新たな新鮮味が沸いて、いいもんだ。しかもそれが、自分にとって思い入れのある曲ならひとしおだ。
 で、そのTBCのCM第二段。
 同じくキムタクで、前回と似たようなシチュエーション。で、その歌だ。
 今度は、タツロー・ヤマシタのオールイングリッシュ・ナンバー「YOUR EYES」。
 やられました。キムタク歌いでしかもタツロー攻め。この意外な組み合わせ。驚きの出会い。
 そして、一番驚き、また嬉しかった事。
 お店で有線を耳に入ってくるにまかせて何がなしに聴いていると、別のアーティストの歌なんだが、まったく別ものの曲なんだが、どこか聞き覚えがあるようなフレーズに気が付いた。
 ありゃ。これは・・・。
 人間の頭の引き出しというものは、自分の思い通りにはなかなか開かないものだ。とりわけ、こんなふうに不意打ちをかまされると、なかなか・・・なのだ。出てこない。
 あ。でた。
 アルバム「FOR YOU」収録・・・山下達郎の傑作中の傑作、珠玉マスターピース、夏とコーラとビーチとこの曲・・・「SPARKLE」
 が、違う、のだ。まず歌っている奴が違う。今流行りのR&Bシンガーみたいな(みたいな、じゃなくてそうなんだが)、声質と歌いっぷり。曲の構成も、メロディーも、何もかも、「SPARKLE」と違う。
 おまけにラップ付と、きた。
 「SPARKLE」内の、ギターのあの名フレーズ、コーラス、「ジャジャジャン!!」とかの部分をサンプルして、使っているというわけだ。
 こいつは意外な変身ぶりだ。これは、単純なカヴァーではない。
 R&Bのサンプルネタを、海外のアーティストからではなく、日本のアーティストからディグったというわけだ。しかも山下達郎の、「SPARKLE」だ。やられた。
 向こう(海外)のR&Bや、ヒップホップは、往年の名曲からサンプルして自分の曲に使う、というのはある。その対象となる「定番ネタ」というものもある。
 しかし、まさか山下達郎でくるとは。
 前例がなかったわけではない。
 昨年、あるラッパーが「クリスマス・イブ」をサンプルして使っていた。結構話題になったものだ。「クリスマス・イブ」でラップをかますとは、驚嘆すべき変化球だ。新しい。だが、あまり驚くには値しない。
 なぜならタツローの「クリスマス・イブ」は、国民的クリスマス・ソングだからだ。認知度は極めて高い。これぐらいはやるだろうな、とは思っていた。今度はどこの誰かが、犬か猫に歌わせるんじゃないか。
 しかし、「SPARKLE」はマスターピースとはいえ、老若男女にもれなく知られている曲とは言い難い。そこまで知られていないだろう。だからなのだ、驚いたのは。
 これを機に、我が愛しの曲「SPARKLE」の知名度がもっと上がればいいと思っている。いいものは広く分かち合いたいものだ。
 ちなみに、そのアーティストはBOO。曲は、「SMILE IN YOUR FACE」。
 春におすすめの一曲です。
 その他にも、小林建樹という人が、タツローの代表曲のひとつ「ライド・オン・タイム」をカヴァーしている。これはてらったり、捻りすぎたりしない、ストレートなアレンジだ。新鮮味はあまりないが、違和感がなくていい。
 で、思ったが。
 今は「カヴァー」が流行っている。特にだ。
 ちょっと前にヒットしたRe:Japan「明日があるさ」も、もちろんウルフルズのからではなく、今は亡き坂本九が先なのは有名な話だ。
 猫も杓子も右も左も、「カヴァー」だ。その様相は、犬も歩けば、という具合だ。
 かつての名曲、アーティストをリスペクトし、自分流儀の解釈でアレンジを加え、世に出している。そういうのが、以前にもまして、今多い。
 いい曲じゃん、とか思ったら、カヴァーだったの!?・・・っていうのもある。
 「この風潮は、今のアーティストの創造性が欠如している表れではないか」「原曲の力におんぶにだっこではないか」「借り物で売れているだけじゃないか」と、おっしゃる向きもなきしもあらずだが、俺はいいのではないかと、思うのだが。
 その曲、アーティストをカヴァーする事により、被カヴァー側も、また新たに注目され、脚光を浴びるだろうからだ。再評価されるわけだ。
 ものまねされて、人気が再燃した往年のスターもいただろう。
 カヴァーを聴き、その源流を探ろうと探究心を働かせるのはよくある事なのだ。そして、改めてオリジナルの良さを認識する。
 昔の曲をアレンジ・・・原曲を知らない若い衆にとってそれはかえって新鮮味があるものなのだ。
 また、かつてその曲を愛聴していた、今ではいい歳のオールドファンも、にんまりとできる。「そういうアレンジできたか!」と、ノスタルジーまじりにはたと膝をはたく。
 いうなれば、若い世代と、古い世代が、同じ曲を共有できるわけだ。
 さればこそ「カヴァー」は大いに結構、と思う次第なのだが。
 いいものは、時代を超えて分かち合うべきなのだ。
 おっと横道にソレまくり。
 原曲自体も、最近リバイバル・ヒットをかましている。
 夏のジーニアス・タツローといえば、コレ。不朽の名作。灼熱の陽光とゆらめく大気とオープンカーとキンキンに冷えたビール!!
 ・・・それとこの曲!!
 「ラブランド・アイランド」!!
 皆さんごいっしょに。「みぇくるーみぇーくにゃああーつのごおーごおー」
 なんで今になってこの曲が頑張っているのかと首を傾げたものだ。一時期は、ランキング番組のベスト10圏内の常連だったではないか。なぜだ。なぜこれほどまでに、この曲が熱いんだ。
 今までお目にかかった事がないなんかイカしたPVまで、出来てるじゃないか。
 後々にわかった事だが、「漂流教室」とかいうドラマで使われていたそうなのだ。
 納得。TV絡みなら、それもそうだろう。ドラマの主題歌ときては。
 だが、これはきっかけに過ぎず、やはりリバイバル・ヒットの根底にはタツロー・ヤマシタの神がかり的な底力があったからなのだ、と断言する!!

 この耳に嬉しい昨今の「タツロー再考/最高」の流れは、維持してもらいたいものだ。
 老若男女、日本全国津々浦々に至るまで、山下達郎御大を以前にも増して愛聴、レスペクトしていただきたいものだ。もうすでに動かし難い、まさに「不動の人気」を確立しているのだが、10代から20代前半の若い衆にもタツローの神通力的ソングを目の当たり、いや耳の当たりにしていただきたいものだ。

 もうすぐ、タツロー最大の真価を発揮される(1000%決め付け)、あの「夏」がまたやってくるのだから!!

 とりあえず、ウルトラ・マスターピースである「LOVE TALKIN'」を誰かカヴァーしてください。ドラマのタイアップとかで。
 あと、名盤「COME ALONG」と「COME ALONG II」を買って聴いてください。
 小林克也声でターツローヤマーシタ。


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