第5回
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■ テーマパークを(勝手に、頼まれもしないのに)考える

 テーマパークっていうのがそこかしこに林立して久しい。
 つい最近大阪の方にもひとつ、どデカいのが出来た。ジョーズとか、恐竜とかのだ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパンだっけ?)。また、テーマパーク的性格を持つ、ショッピングモール、水族館等も近年数多くある。よくある「なんたら村」とかいうのも、この部類にはいるかもしれない。
 私という人間は自他ともに認める出不精なのだし、ああいうのにあまり食指が動かないほうなのだ。が、それでも実際にその場所に行くと、広大な空間に構築された非日常的な「世界」に魅せられて、というか飲み込まれて、ワクワクしてしまう。
 それは、巧妙に仕組まれた「演出」のせいだ。
 テーマパークに一歩足を踏み入れると、日常から隔絶された「夢」の空間というか・・・圧倒的な規模で構築された世界観に飲み込まれてしまう。
 テーマパークの入り口を引き合いに出そう。
 入り口というのは、テーマパークというものを一つの一貫した「命題」を持つ物語としたら、その導入部にあたるだろう。現実世界と夢世界との境界線だ。ゲートをくぐればもう異質の世界。物語の始まりだから、入り口というのは結構考えて作られている。
 それはさておき、どこでもそうなのだと思うのだが、入り口の手前。あそこに立つと、どうも奇妙な感じがする。
 まず入り口の方を見ると、その遥か向こうのは夢の世界を具現化した建造物が遠く望める。ビジュアル的に計算されてデザインされた、いろんな建物。それぞれが一つのピースとして寄り集まって、大きな夢世界を構築している。
 そして視点を変えてその反対側の方角を見る。よくある町並み、はたまた工業地区とかバス停とか民家とかいった日常生活に密着したものが見える。そのコントラストが、なんとも奇妙だ。遊園地などではこんな感じはあまりしない。
 これはやはり、テーマパークという空間には、尋常ではない気合を入れて「世界」が構築されていて、そしてその計算ずくの「世界観作り」が見事成功しているせいだろう。だからこそ現実世界とのギャップを感じるのだ。
 そして、そこを訪れた異邦人は用意された別天地に冒険心を刺激され、あっちを見、こっちに足を向け、次はあそこだとか、終日歩き回ってしまう。擬似観光気分というか、否、人為的に構築された人造世界でまさしく「観光」しているのだ。
 テーマパークは世に数あれど、皆一様に徹底した「世界観作り」には感心させられる。
 中世の城やシャトルの模造品をおっ建てたり、並々ならぬ労力と、金、をかけている。
 当然だ。たいした厚化粧だが、それがテーマパークの売りだし、大事極まる要素なのだから。
 「世界観作り」に失敗した魅力に欠けるテーマパークってのは見て回ってて悲惨だ。あれこれ見て回る意欲なんて起こらず、入り口で誘導的に買わされた数千円分の回数券を使い切らねばという義務感のみに囚われて、げんなりって気分だ。目に入る造形物のほとんどがまったく現実的な機能を果たさない分、虚ろで空しい。
 例えばAというアトラクションがあったとして、それが「どう面白いでしょう」っ感じの独りよがり的で魅力に欠け、見ている方がノれなくてシラけるほどだとする。
 なんだか見るのも気の毒なくらい恥ずかしい扮装をしたお兄さん、お姉さんが、苦笑を禁じえないところをグッとこらえて極めて棒読み口調でアトラクションの趣旨を説明していたとする。
 嫌でしょう?
 それが有料だったりすると「なーんだそりゃ」ってさらに切ない思いをしてしまうばかりか不快感、怒りを覚える。金と貴重な余暇を返せって感じだ。それが仕掛け的に激陳腐極まった貧相ぶりだったらまたガックリ。加えてそういうダメさ加減が、入って体験してみるまでわからないようになっていたらマジ切れモード全開って感じだ。おいツルハシとダイナマイト持ってこいって気分になる。ぶっ壊せ、だ。
 そういうとこはそうそうに潰れたり身売りしたりする事になる。
 閑話休題。まあテーマパークってのは、入場料、何とか料とかで、とかく金がかかるように出来てるが、それでもやっぱりいいもんだ。遠路はるばるドライブしてまでも見に行こうという気を起こさせる程に魅力的なものであればだ。
 それにはまず、見所が沢山あるという事。一日で回れないくらいだ。
 これは大事。容易に全体像が知れてしまうもの程、落胆されられる事はない。
 物事に感心を持たせるためにはある程度「未知」の部分が必要だ。最初から結末がわかりきっている連載漫画なんて読む気になれないし、一日で終ってしまう長編RPGなんて金返せでしょう。女にせよ男にせよ車にせよ大統領にせよ(?)氏素性が謎めいていて、そう簡単には全てが見えない方が魅力的なのだ。
 それが「深み」というものだ。
 テーマパークというのは見せて何ぼの商売だからやたらと秘密めかしてもどうかと思うが、最初から全てをさらけ出してはいけないという事だ。
 だからアトラクにせよ絶叫系スリルライドにせよ、一日や二日ぐらいの強行軍では回りきれないくらいの規模が必要だと思うのだ。
 これくらいあれば充分なボリュームを出せるだろう。ものの一時間で全施設を消化できてしまうのはよろしくない。多すぎて、なかなか見て回れない方がいい。すぐに全体像を把握されると「こんなもんなの?」と客にナメられる。ナメられるとそのテーマパーク自体の魅力半減だ。観光地に盛り沢山の見所はつきものだ。
 その懐の深さが、あっちへ行こう、いやこっちへ・・・という冒険心と好奇心を引き立てる。
 最初の一日で全体の三分の一ほどを見て帰り、ああ回りきれなかった、次の機会にまた、と期待を数倍に膨らませて再来園という運びになる。「全アトラク制覇」という一種の目的意識と楽しみ方も喚起し、それだけでリピーターを呼べる。
 もちろんこれはひとつひとつの出し物が優れていればという前提の上に立っている。「個アトラク優秀」の実を挙げねば、ああここもだめだわ、どーせあっちもくだらないって・・・と、早々に見切りをつけられてしまう。
 それにそのアトラクションが何度でも体験したくなるくらい魅力的だとすると、それだけでリピーターを呼ぶ一要因になる。一回見て満足ではなく、噛めば噛むほど味が出る、あの快感をもう一度、ならいう事はない。これはジェットコースターやウォーターライド系のスリルライドに多い。
 こういう「目玉」があると、新規の集客にもいいだろう。「あれがあるから、あそこへ行ってみよう」という感じだ。まず来てもらわないと商売にならない。だから、どのテーマパークにも一つならずウリのアトラクがある。そこへ行きたいと思わせる引力がある出し物だ。つかみが大事だ。

 今思ったが、各出し物との間にある「距離」も大事なのではないか。
 テーマパーク自体が広いっていうのもあるんだろうが、とにかくやたらと歩かされる。そこにも計算があるのではと。
 何かに(楽しいもの)向かって移動しているときというのは、うざいながらも何やかやと、期待感で胸膨らむものだ。園内には連絡バスがあるものの、そう簡単にはいけないので、辿り着いたときにはそれなりの達成感がある。まあピーク時には大抵そこから行列の洗礼を受けるのだが。

 ・・・またしても今思ったが、そういう一つの施設に対して過剰なウェイティングがあった場合、時間的制約のあるお客や、待つのがうっざいと思う客は、比較的空いている別のアトラクに逃げるという選択もできる。これによって、ある程度、お客のストレスを緩和できる。こういう面からも出し物は多い方がいいに違いない。

 はい本題に戻る。
 何か目的地を決めて旅をするのは楽しいもんだ。テーマパークという特殊な環境に置いてのみでなく、旅をしている、観光しているときには、移動中すらもレジャーとなるのである。その辺も計算にあるのではないか。
 加えてその、「なかなかいけない感」が、各アトラクを美化するのではないかと。
 ドラクエだって最初の街から、次に目指す街へ容易にはいけない。距離的にも離れているし、モンスターなどの障害もある。すぐに行けたらありがたみってのがないからだろう。
 それでこそ燃えてくる。人間、上手くいかないからこそ求めている対象が貴重で得がたいものだと感じるし、やってやろうと頑張れるし、何とか辿り着いてやろうと燃えてくるのだ。
 人間真性マゾ説。
 実際に到着して見て回ったらあれれって感じになるが、それでもなかなか行けなかった別世界を垣間見た感動はえがたいもんでしょう。並んで買ったエアジョーダン(流行ったなあ)には頬擦りしたくなるもの。ビールも上手い。
 そういう具合に、各アトラクの価値を高めるために距離というものを利用しているんじゃないかと。これからの季節、暑い中をさんざん歩かせたらドリンクも相当売れるし。
 そういうのも狙っているんじゃないかと、穿って考えました。
 あと、小生の考察はなおも続く。
 そこでしか見れないというものを見ておこうという「名所見たい願望」の利用。
 そこでしか手に入らないオリジナルグッズをゲットし、そこでしか食べられない料理を食べてみたいとかいう・・・まあ総じて「そこでしかシンドローム」を利用した販売戦略。
 でもきりがないからここらでやめとく。
 まあさりながら、そういう戦略と演出、そこらへんがテーマパークがテーマパークたる所以なのでしょう。
 以上、今回はテーマパークについて、だらだらとものしてみました。

 緻密な計算のもと、このうつしよに夢の世界を現出するテーマパーク。人為的に作られたこの虚構の空間に、人々は幻想と一時のレジャーを求めて今日も足を運ぶ。
 稼げっ! テーマパーク!!
 遊べ!! テーマパーク!!
 今年の夏もテーマパークが熱いぜ。

 俺は行かないけど。だって暑いもん。
 クーラー病猫とソーメンだっぴょ。ソー、メーン。


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