第2回
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■ 星空に思いを寄せて(殺人的にクサすぎます。罰として三日間断食してこのうえなく凶暴化した猫と、金だらいが落下してきます)

 雲ひとつない夜空はいい。空気が澄んでいて、かつまわりに他の光源がなかったら、もっといい。空を圧するほどの光を発散する繁華街などはいいスポットとはいえない。
 宇宙は広い。ものすごく間違ってて逆説的な例えだが、海のようだ。夜の海だ。
 海といえば、月明かりに浮かぶ穏やかな海を見ていると、揺らぐ波間に僅かな光が反射し、キラキラ煌いて綺麗なものだ。夜空の黒い大海はそれほど動的ではないにせよ、いろんな大きさで多様な配列を成す星々がそれぞれに瞬いて、見るものをそれはそれで和ましてくれる。あの光は、どれぐらい宇宙を旅してきたのかなと、何となく思ってみる。
 ・・・ここからこうして夜空をぼうっと見上げていると、自分が地上というものを確固たる足場にした「下」にいるのではなく、地球という天井から紐か何かで吊るし上げられ、星空という大海を「上」から心細く見下ろしているかのような錯覚に陥るのだから、不思議だ。馬鹿馬鹿しいが、軽い恐怖感に駆られる。というのも、もともと高所恐怖症の気がほんのちょっとあるからだ。数十階建てビルの屋上で、市街を遠く眼下にやりながらそこでぴょんぴょんジャンプをやらかすという度胸試しめいた遊びがあるが、あれはあまり得意なほうではない。
 そんなものはどこにもありはしないのだが、天上から巨大な掃除機の先を突きつけられたような、妙な吸引力を感じる。落下感。今にも足が地面から離れて体が漆黒の宇宙へ吸い込まれ、光の粒が瞬く黒い海原にドボンと落ち込んでいきそうだ。それもいいな、とも少し思ってみる。落下する快感、スピード感、自由落下の心地良い皮膚感覚は得がたいものがあるからだ。

 さりとて、何かにしがみつきたい衝動に駆られ、はっしと足を踏ん張って無意識のうちに地面を踏みしめてしまっている自分がいた。そうしたところで、ああ、自分は今重力でしっかりと地球に固縛されているのだと思い直す。
 己だけに限らず、地球上の万物が、多かれ少なかれ重力の法則の支配を受けている。万有引力前提のありかたをしている。きょう日では何を言ってるんだと悪態をつかれるぐらい自明な事だ。鳥だって魚だって隣りの木村さんだって大統領だってそうだ。そういういわゆる「当たり前」の、世間の常識となってしまった事柄を、夜空をなんとなく見上げるだけの行為で図らずも実感のできるのだ。厳密に言うならば、宇宙という観点から、重力の偉大さを垣間見れ、その恩恵を受ける自分を一瞬発見できるのだ。
 科学なんたら館とかで入場料を払わずして、である。図書館でそのことについてものしてある文献を紐解く必要もない(それも有意義な事だが)。なんと金のかからない安上がりな奴だと思われる向きもあるだろうが、それは当たっている。しかしたまにやるこの遊びは、たまらなく、掛け値なしに面白いのだ。そういえば最近忘れてたな。
 それでポエムでもひとつ

 なにがなし猫と飛び込む星の音、ぼっちゃん

 (ポエムじゃない上に独創性に欠け、それに加えて今日一日が最悪に思えるほど面白くありません。中途半端にブルシットなので、条例に則って夜空から月明かりと星のか弱い光を降らせるかわりに、鬼のような本数の槍の雨と、野刀で武装した三船敏郎と志村喬を投下します。命乞いなど愚の骨頂ですから武士らしく斬られてください。お願いです)

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