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第19回 | |
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メシはうまいが水に浸る 成田空港の滑走路は非常に混む。飛行機が地上をのろのろ動き出してから離陸までに、かなり時間がかかる。この日もやっぱり遅れて、離陸した時にはすでに遅れて到着することが決まっていた。ドイツ到着まであと1時間くらいになったとき、乗務員がエコノミークラスの僕の席にやってきた。そのままビジネスクラスの最前方に案内される。着いたら真っ先に降りて走ってトランジット(乗り換え)をこなさなければ間に合わないと説明をうける。いきなりなんという状況だ。しかし、空港で走るのは何もこれがはじめてではない。オスロ空港で走ったときの経験が生かされるときがついに来たか。 フランクフルト・マイン空港到着と同時に、さあ走るぞと意気込んでいると、ロビー内を駆け回る変な車に乗せられる。他の乗客が歩いているところを、この車はすごい勢いで駆け回るのだ。エレベータにも車ごと乗って移動。入国審査も、車に同乗していた乗客全員分のパスポートを束ねて入国審査官に提出するというワイルドさ。短時間の乗換えといっても、汗もかくことなく、イタリア行きルフトハンザ機に搭乗する。なんだか拍子抜けした。機内ではサンドイッチと紅茶。やっぱりヨーロッパのパンは平均的にうまいなあ。いったいなにが違うというのだろうか。ルフトハンザ・ドイツ航空の機内アナウンスを音として聞き、ドイツ語の響きはやっぱりハ行の音が凄いなとか思っていると、約1時間で夜のベネチア・マルコポーロ空港に到着。ベネチアにはベニスという読み方もあるが、「ベネチア」がイタリア語読み、「ベニス」が英語読みということらしい。しかしなんとも小さいさびしい空港だ。 |
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荷物の回転台の前に立って待つ。結構荷物でてきたのに、まだ出てこないなーと、いや、もうこれ、こういうときは嫌な予感がいきなりするのです。しばらく待ってみる。ちょっと待ちすぎはしないだろうか。やがて無情にも止まってしまうのだった。こうしてロスト・バゲージという状態になる。フランクフルト空港の荷物振り分けシステムが追いつかなかったのが原因だろうが、人間がやっと乗り換えれたぐらいなので、荷物がそれ以上のスピードで乗り換えられるはずもない。しかもこの便はその日、フランクフルトからの最終便。今ごろ、「むちゃだよ、こんな短時間じゃ乗せかえられねえよー」といってドイツのマイン空港の職員はぼやいているに違いないのだ。国際線の乗り換えに45分は無茶ですな、計画失敗、やれやれ、と座り込むところもないような寂しげな空港なのだった。 |
![]() 届いた荷物に「RUSH」の文字 |
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空港のLost&Foundカウンターには、大方の予想を裏切らない、愛想の悪い、しかも英語があまり通じない係員が2名いて、乗客10人ほどが列を作って待っていた。どうやら毎日このくらいの荷物は平気で届かないらしい。クレームタグを出し、荷物の特徴を伝え、滞在先のホテルと日本の住所を書き、税関にいってサインをもらい、心身ともに十分疲れて空港の外に出る。 よく地理がわからないので、タクシーはサンマルコ広場でおろしてもらう。ホテルはサン・ザッカーリアのバス停の目の前。ふらふらとフロントに歩いていって名前を告げると鍵を渡される。本館から離れた別館で、古い家具が置かれたすきま風の入る3階の角部屋。荷物がないけど、案内してくれたポーターにチップをあげようと思ったら細かいのがなくて、しかもうまくコミュニケーションが取れなくて、なんか非常に切ない状況になる。 |
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腹も減っていたけれど、アメをなめたりしてごまかして、疲れてもいたので再び寝てしまったり、そうしているうちにすっかり水もひいて歩けるようになっていた。ツアーでめぐってくる日本人観光客が多いせいで、サンマルコ広場に近いトラットリアの前には、「おいしい、あさり、スパゲティ、シーフード、ありがとう」など連呼する謎の呼び込みがいる。日本のガイドブックに載ってしまった店には、大量の日本人が毎日のように押し寄せ、その運命はどこも悲しい。あんな奴らがいる店には入らないぞと心に決め、路地をどんどん進んでいくと、店内はイタリア人だらけという店を発見。こういう店がいいに違いない。めちゃめちゃおいしいに違いない。そう思って店に入る。みんなでかいピザを1枚それぞれ食べている。凄い国だ。負けじと食べる。 翌日、朝からこのインスタント長靴をはいてベネチアの迷路のような街を歩き回る。これは楽しい。一人ではしゃぐ。昨日いけなかったところが長靴というアイテムを手に入れることで行けるようになるなんて、まるでロール・プレイング・ゲームの世界だ。しかも石畳で迷宮ときた。これでドラゴンでも現れて、凄い剣を振り回して、なぜか魔法使いが後ろにいたりすると完璧だ。 船で移動し、長靴で歩く。自転車も車も走っていない。聞こえるのは船の音、水の音、石畳を歩く音。よく浸水してなにかと不便だけれど、何かがうらやましすぎる。 運河にかかる小さな橋を渡り、狭い路地を抜けると広場があって、突然果物屋があって、小さなリンゴを買って歩く。 |
![]() 水位計 ![]() 普通に浸水中 ![]() これは通常時 ![]() それ自体浸水している水上バス乗り場 ![]() 市場のやおや |
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