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第18回 | |
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| ■ ご飯、少なめで ワールドカップは残酷だったと村上龍は言ったが、世間がサッカー一色となっている時に、東京から来客があった。彼の名は、まぁここでは仮に西山としておこう。僕が福岡を離れることになり、これを逃したらチャンスがなくなるということもあって、あせって東京から半ば急いでくることになったのだが、もちろんせっかく遠方から来てもらうので、ぜひ引越しの手伝いをしてもらおうと思っていた。しかしまぁ、往復の飛行機代をかけてもらって、わざわざ引越しの手伝いをしてもらうだけというのも後味悪いので、少しはうまいものでも食ってもらおうと、ラーメン屋などにお連れしたわけだ。 いや、本当のところは最初から食い倒れツアーだったわけですが、しかし実際のところはちゃんと荷物の行き先のラベルを貼ってもらったりもした。 ラーメンも餃子も魚もチャンポンも天ぷらもフグも(山口)イカも(佐賀)くびおれサバも(屋久島)関サバも(大分)関アジも(もはや福岡というよりこうなると九州ですな)食おうと張り切っても、どうせほんの数日ではまわりきれないのだから厳選しようということになる。厳選というのは難しい。考えれば考えるほど、ついいつも食わないような高級なものを選んでしまいそうで、やはり普段わりとよく行く店がよかろうということになった。 福岡から出てはじめて気づくことの1つに、食い物がうまいというのがある。そりゃ、東京でもうまいところはうまいが、福岡は平均的に良、ところによってウマすぎる!という店があって、書いている僕も今からちょっと福岡に行きたくなってくるくらいだ。ホームタウンは誉めすぎる傾向にあるという点を差し引いてもやはりうまい。ソラリアステージの地下だって十分うまいのだから。 続いて、正福だ。魚がメインの定食屋だ。さば味噌煮なんかでも十分にこやかになれるすばらしい出来だが、せっかく来たからには、早い時間に売切れてしまう可能性の高い「かます」や「いさき」の塩焼きなんかをガツガツいかないといけない。「それと卵焼きね」と言うのを忘れずに。そしてまた、この塩焼きというのがずるい。粗塩をガッとふって、素晴らしく焼き上げる。同じ魚を目の前にして果たしてこうも絶妙に焼けるのかという具合に出てくる。塩もいいが魚もいい。筋肉質の男に、今にもやぶけそうなTシャツ。それが目の前の魚に起こっていることなのだ。食うものは全部写真に撮ると宣言していた西山氏が、魚の圧倒的な迫力に、思わず撮るのを忘れて食べてしまうほどだ。熱い間にほくほく言いながら食い尽くす。 ラーメン屋2軒目は「一番山」。このあたりになるとかなり好みの分かれるところではあるが、さきほどのラーメン屋よりずいぶんこってりとしている。店に入ると威勢のいい声。味わい深いスープと、こだわりの麺が楽しめる。一杯目はそのまま、そして替え玉には無料の辛し高菜を絡めてズズッとやろう。さらに辛さを求める向きには、辛し味噌もおすすめだ。西山氏はこちらでもスープを飲み干し、「いやーうまいね」という素晴らしい感想を添えた。 本当は席につくと目の前にのれんがある「一蘭」なんかもおもしろいのだが、最近は六本木でも食えるので行かない。「一風堂」も東京進出したので、福岡にきてまで食べなくてもよかろう。東京に出た店には冷たいのだ。 そして東京に戻る前には、福岡空港第2ターミナル2階の中華料理屋でちゃんぽんを食すのが望ましい。ちゃんぽんといえば思い出すのは長崎テクノフェア97。バーチャルリアリティを使ってなんかやってこいという教官からの指令を受けて、IRIXとPCをつなげて即席玉突きゲームをつくり、2月の寒い日にレンタカーのワゴン車で長崎に向けて出発したのだった。とても高価なシリコングラフィックスのワークステーション「インディ」など箱にも入れずガッっと乗せ、鉛の固まりのように重い磁界発生装置やら、かさばる16個の受信機など詰め込み、ババッと移動して、設置。今考えるとあのワゴン車には数百万円分の機材が、引越しのタンスより粗雑に積まれていたのだ。 それで、東京へ帰って、西山氏は福岡の味を夢で再現しながら寝たはずだ。 いやや、今回書きたかったのはこういうことではなくて、ロボカップのことだった。ロボカップとは、ロボットによるサッカー競技大会。ロボットの大きさによってリーグがわかれている。 まず2足歩行型ロボットだが、ホンダのアシモを見るとわかるように歩くのがやっとというところで、まだサッカーの気配はない。このロボカップ、2050年に人間と試合をするのが目標ということだが、それはどうか。人間どうしでもサッカーというものは、時には格闘技の様相を呈すのに、ロボットにスパイクはかせたら恐ろしいマシーンが動きまわるのではないか。そんな自在に動けるロボットがいたら、もはや単なるサッカー選手としてだけ利用されているはずもない。京葉線新木場駅あたりで地下鉄有楽町線から乗り換えてきて「今日も暑いですな」とか話し掛けてくるロボットだっているはずだ。僕が世界の中田なら果たしてサッカーマシーンと対戦するだろうか。まぁ夢があってよいではないか。いずれにしても「僕が世界の中田なら」がそもそも妙な仮定であることは棚にあげたままでよろしくたのむ。 ソニーのペット型ロボット「アイボ」は、4足歩行なのでそれよりは若干スピード感が増すが、それでも所詮、海ガメ対陸ガメといった勢いであって白熱の場面はない。カメはやはり海ガメライブで見るくらいが環境にもやさしくていい。レゴのマインドストームのリーグもあったが、これは乾電池駆動なのでパワーに欠ける。中型リーグは、高さ50cmぐらいのロボットがタイヤによって動き回る。移動が速くなって多少展開があるものの、隅にボールがいったときに動きが止まったりするあたりはまだまだだ。駆動系が弱いのに半端に大きくしたから小回りが効かない。 |
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試合がはじまると人間は一切手を触れることができない。カメラは天井に大きいものが1台、各ロボットに小さいのが1台ずつついている。天井から吊るされたカメラは試合場全体をとらえていて、各ロボットとボールの位置関係をメインコンピューターが計算し、ロボットに無線で指示を飛ばしている。ロボットについているカメラのおかげで、ロボットは自分で判断することもできる。監督からの指示と、今自分が目で見ているもののどちらを優先するかなんて、めちゃめちゃリアルだ。ここまでくると、ロボットとはいえ、人間っぽい動きをしたりしておもしろい。 |
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小さいロボットが見事な連携をしながら動き回るのをみていると、ものごとは小さいスケールでまず極めていかねばならないことがよく分かる。まずできるだけ規模の小さななんらかの制限をつくり、その制限から生まれる制約の中で制作をすすめていくことで、その世界の楽しみ方やどこに力を入れるとおもしろいかが見えてくるものだ。スケールを大きくするのはそれからでもいい。 宇宙について考える前に、まずはその八百屋の店先で繰り広げられている宇宙を観察しようではないかということだ。ももは2個で400円、なしなら4個買える。迷うところですなー。 |
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