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第5回 | |
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| ■ 看板としての宇宙 築地は朝が早い。 朝が終わる頃には時間の流れがすっかり止まっている。 昼下がりの築地7丁目。 バイクに跨って文庫本を読みふけるバイク便の青年。 片栗粉の箱を1箱だけ荷台に置いて、ゆっくり走る自転車の老人。 黄色いシートのかかったランドセルを3つ、1人でかかえて路地に消えていった小学生。 この街には時間の流れを忘れさせてしまいそうななにかがひそんでいるに違いない。 でも、やがて日は暮れて、路地裏の細い道から陰影がなくなっていく。 風鈴の音。 魚を焼くにおい。 街灯と家から漏れる光がまざりあっていく。 そうだ、通学路だ。 普段歩くときにあなたはどこを見ているだろうか。 何をみながら歩けばいいのか。 園庭のこどもたちは、与えられたきれいな完成形の泥だんごよりも、自分が作っていた形の悪い泥だんごに執着する。 最初は確か中学の体育祭か何か。校舎の上から吊るすという、どでかい絵をみんなで書いた。高校のときは確か、文化祭の門をつくったけれど、最初に意図したものはできなかった。でも遅くまで友達とものを作っていること自体が十分楽しかった。 凄い人数がそれぞれ色のパネルを持って、前もって決めてた順序で変えていくというマスゲームもあった。色のパネルは大きかったが、屋上から見たらまるでコンピューターの画面にでてくるドット絵だった。そこで、当時その高校にできたばかりのコンピューター室に入り浸って、プログラムを書いた。ドット絵アニメーションみたいなものを作って、それを時間ごとに分解して、誰は何番目に何色を出すというデータを全生徒分印刷した。その時点ですでにそれは単になにか文字を出す既成のものではなく、みんなは気付いていないと思うけれど、ぼくの最初の作品になっていた。 大学ではもっとエスカレート。よくわからない最新技術に飛びついて、なんか展示する機会があるたびに、やればできます、とか宣言していつも徹夜だった。本当はできるかどうかまったくわからなかったことでもなんでも。そうしているうちに、僕のまわりでいっしょにものを作る人もいつの間にか増えていって、気がついたら10人を超えていた。大変なことだ。 それが会社という組織になった途端に関係が変になってきて、ゲームを発売したところで解散。 どんどん利益をあげて、人が増えて、会社が大きくなっていく。それに興味がないのはそれほど残念なことだろうか。 宇宙は互いに動いている。でも、ここからみれば、ぼくらがいる天の川銀河からいちばん近いM31アンドロメダ銀河でさえ、ほとんど止まっているようにしかみえない。30億年後には天の川銀河が吸い込まれてしまうほど近い銀河なのに! だから、明日の10時におうかがいしたいのですが会社はどこですか、と聞かれたら右とか左とかあいまいなことをいわず、こう答えるのがわりと正確だ。 簡単なことだ。左右なんて感覚的なものは、ビール1杯で変えることだってできる。 |
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