第6回
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■ 脳細胞より愛をこめて(1)

 えー、長らく休養をいただきましたラメ夫でございます。知っている方も多いかと存じますが、夏の終わりに脳の血管が詰まりまして、ほぼ1ヵ月入院しておりまして。しかも弱ったことにダメージを受けたのは言語を司る左脳でして、おかげで10考えたことが6しか出てこないとか、緊張すると頭がまっ白になってどもったり、しゃべれなったりするとか、まるで今までの悪行(涙)に対する天罰じゃないか? と思ってしまうほどの状態でございました。おかげさまで現在は生活に支障をきたさない程度にまで回復しましたが、こうしてキーを打っていても、以前のような流麗かつ優雅なタッチタイピングがウソのようで、5秒に1度はミスタイプをしてしまうのです。これじゃあ仕事になりませんな。原稿掲載延期のいい口実ができましたヨ!(涙)
 というわけで、円熟味を増した、過去の原稿とは違った作風(←偉そう&ウソ)になるかと思いますが、なにとぞご了承くだされ。
 脳梗塞に冒され、死の淵から生還したオレの安否を気遣い、一報を受けた父は愛する息子に会うべく、今年で38年連れ添った妻(わかりやすく言えば母な)と共に上京を計画。だが父はとても訛がキツく、声が大きく、ルックスが梶原一騎という三重苦で、しかも視力がほとんどなく、酒を飲むと説教をし、足が臭いという三重苦でもある。つまり電話でオレの病状や上京の準備などを報告、確認する妻には「言ってることの20パーセントぐらいしかわからない」と思われるダディだ。「いいよーもう大丈夫だし体調が戻ったら北海道に帰るから来なくていいって!」と遠慮するオレをよそに、「ミカさん(←妻)のご両親にもあいさつしてないし、ウチのばば(母)に連れてってもらうから!(翻訳済み)」と強行手段に出、退院当日、オレという日本の財産(涙)を創り出したシルバーカップルがいよいよ東京へやってきた。
 両親は妻の危なっかしいナビゲーションと義父の安全運転で病院のある武蔵小杉に無事到着したが、直接病院へは来ずに義父の知っている鰻屋で鰻重を御馳走になっていたという。塩分控えめの病院食ばかりの日々を送っていたオレには百害あって一利ない、デリカシーの意味を考えてしまうほどの激厭味イベントなのだが、それでも数年ぶりとなる六重苦の父との再会は感慨深いものがあった。蛇足だが、母は空港近くの工業施設を見るや「あそこがこないだできた東京ディズニーシーでしょうかね?」と質問したらしいです。どうやら息子は母親似ですな(涙)。
 久しぶりの我が家。本来ならば速攻で近所のがんこラーメンに赴き、えび塩味玉入りを一気にすすりたいところだが、そうもいかず(当然だなオレ病人だし両親いるし)、予定していた蕎麦屋での夕食を変更し、寿司の出前をとることにした。父はもう酒を飲んでいる。男前だ(号泣)。
 父は届けられた寿司を見るや、「おい、ヒラメの縁側はねえのか?」と怒りが交じった落胆の表情。しかし北海道では意外に寿司ネタとして登場していない(少なくとも父の馴染みの回転寿司屋ではの話だが)子持昆布に新鮮な感動を覚えたご様子。日本酒をポカリ感覚(笑)で飲みながら、パクパク寿司を食うその姿を嬉しく思った。

 短くも濃い夕食が終わると、母が言った。
 「さっきミカさんに渡した袋に、お菓子入ってるから食べてみなさい。おいしいから!」
 母が言い終わる前に妻が袋に駆け寄った。その中には、英語で“ストロベリーチョコレート”と書かれた見慣れないパッケージが入っていたのであった。(つづく)


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