第1回
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■ 食旅行への出発

 人間誰しも欲を持っている。欲を持っていない人などこの世に存在しないと言っても過言ではないだろう。もし仮に「私は本当に欲がないんです」という奇特な方は、自分の胸に手を当て、よーく揉みしだき、不思議な気持ちになっていただきたい。そうするだけで、ここでは書けないような恥ずかしい欲がひとつ生まれるはずだ。お試しあれ(涙)。
 総理大臣になりたい、石油王になりたい、宝くじで3億円当てたい、ノーベル賞を受賞したい、Folder5全員とメル友になりたい、印税生活したい、うんこしなくていい体がほしい、8LDKのマンションに住みたい、ランボルギーニ・カウンタックに乗りたい……。ほんの数秒考えただけで、幾多の欲望が湯水のように溢れ出る。しかし、上記の欲望は、いわば“人間が生きる上で不可欠な欲”ではなく、“無理だろうけど実現できたらラッキーな憧れ(あるいは妄想)”に他ならない。
 ご存知かもしれないが、人間には三大欲という本能を持っている。食欲、性欲、垂直尾翼である。一部では垂直尾翼の代わりに海水浴を掲げる輩もいるが、それは間違いである。くれぐれも注意していただきたく思うと共に、この文章がほとんど思いつきで書いていることを理解して読んでいただきたい(涙)。
 私がこの連載のテーマとして取り上げるのが、そんな三大欲のひとつ、食欲なのである。個人的には性欲についても熱く語りたいのだが、1回目にして連載終了、知人からの連絡が途絶える、家庭内がギスギスする等の事態が確実に訪れると思われるので今回は遠慮することにした。我ながら賢明な判断だ(涙)。
 つまり、私がこれまで生きてきた中で出会った“きわめておいしい食べ物”を、その美味さの秘密やそれが生まれた環境、なぜどうしても食べたくなってしまうのか? といった事を織り交ぜながら紹介していこうというわけである。“グルメガイド”と言ってしまえばそれまでだが、ほかでは読めない、私ならではの巧みな文章構成と、しなやかな表現力でお送りする。……自分にプレッシャーをかけるのも良し悪しだ(涙)。
 食欲はほかの三大欲に比べて、その欲求を満たすための選択肢が広く、しかも満たさなければならない回数が多い。その分、充足を最もないがしろにされやすいのも食欲である。
 腹を満たすのは比較的容易だ。近所のコンビニ弁当で妥協したり、めんどくせえからカップラーメンとおにぎりで済ました経験は、生きていれば1度はあるはず。
 しかし、私はこう思うのだ。
 “人間はあらかじめ食事をする回数が決まっている”と。“いつこの世を去るかわからない”という考え方でもいい。だとしたら、おいしくない物よりおいしい物を食べたほうが得ではないか? ……まぁ、これも今考えたんですけど(涙)。
 給食の献立表に自分の好物を見つけたときの喜び、母に頼まれた買物が明らかにカレーライスの食材だったときの嬉しさ、上司に連れられて初めてカウンターで食べた寿司の味、駅弁のフタを開けた瞬間……。食の記憶は鮮明である。そういう記憶に残る食べ物を紹介できたらと思っているのだ。値段や地域やジャンルに関係なく、「すげぇうまい!」と感激した物、夜中に突然「ぅわあ、無性にアレが食いてえ!」と思い出してしまう物を、次回からどんどん取り上げていくので、牛に負けないほどの大量の唾液を口に溜めたり、吐き気を催すほど大量の胃液を分泌させたりしながらご期待いただければ幸いである。
 うまいが一番!(by別所哲也←人違い)

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