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第13回 | |
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■恋の予感 時代劇でも時代小説でもよいけれど、時代モノには、日常会話に取り入れたい言葉使いが結構、出てくる。 私はというと、顔つきまで考えて準備しているものとして、まず 1973年4月から日本テレビ系で放送されたテレビ時代劇『子連れ狼』。主演は、萬屋錦之介。 主人公は、かつて公儀介錯人であった拝一刀。彼に代わってこの役職に付きたくてしようがない柳生一族の陰謀により、妻をはじめとする一家を惨殺され、公儀に逆らう者と汚名をきせられてしまう。唯一生き残った一子、大五郎を連れ、旅に出た拝一刀は、「一殺五百両」で殺しの依頼を引き受ける刺客、子連れ狼となるのだった。目的は柳生一族への復讐あるのみ、という話。 拝一刀を演じる萬屋錦之介の、目の上がすごい。目と眉の間のみならず、眉毛も見えなくなるまで塗りつぶし、頬は“デーモン小暮”ばり。そのメイクで、感情を全く無くしたかのような表情、しかしながら復讐に燃える気迫がにじみ出ている様子は、まさに冥府魔道に生きる“拝一刀”という主人公の設定そのものを表出している。萬屋錦之介は、おちょぼ口だし、よく見ると、手も小さくてもみじみたいで可愛いのよね。なのにあの鬼気迫る迫力。凄い。 「子連れ狼」は、“ボンドカー”もびっくりの仕掛け満載、大五郎を乗せた箱車や、大五郎本人、子連れ狼親子をつけねらう柳生一族など、語るべき点は、たくさんあるのだけれど、何はさておき、もー、萬屋錦之介しかない! 今回、第1シリーズから見て、私、萬屋錦之介のファンになった。熱烈な。もはや恋? かも。 特に好きなのは、非常に場違いだったり、間の悪いシチュエーションで、箱車をゴロゴロ押して通りかかる拝一刀、という時の萬屋錦之介。もう少し具体的な例を言えば、第1シリーズの終盤、拝一刀が何としても川渡しに紛れ込む必要があり、川渡しの皆さんの仲間に入れてもらうための交渉をする場面がある。その時、自分の着物を顔の周りにぴったりとぐるぐる巻きにして大五郎を肩車して川につかるのだ。萬屋錦之介のその姿は、はっきり言って、赤ずきんちゃんみたいで可笑しい。なのになぜか!カッコいいのだ。 どんなに可笑しくて笑える場面でも、無表情で悠然としている様子が、かっこいい。かっこ悪いのにかっこいい、という奴だ。かっこ良くみせようとしてかっこいいのは、普通のことだが、自分がかっこ良くみえる場面じゃなくても、意図せずしてかっこ良く光っている人ってのに、私は弱い。嗚呼、かっこいいぜ、萬屋錦之介。 大体はめちゃくちゃ強い拝一刀なのだけれど、第1シリーズのラスト3回くらいは、柳生一族の猛攻撃で、箱車も疾走、へとへとになって戦う拝一刀と、それを察して健気にふるまう大五郎親子に大興奮だ。 そうそう、刺客依頼を受け、事情を聞いた拝一刀が言うのよ、「承知」ってね。無表情に悠然とさ。 (敬称略) |
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