第12回
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■着流し日記帖

□九月某日

本の紹介めいた文章を書く週イチの仕事が、諸事情で2回休み。この機会に長編小説を読んでみようと計画。パっと思い付いたのは吉川英治。何かと話題の『宮本武蔵』を外して『新・平家物語』なんていいんじゃないの、でも16巻もあるんだなー、うーん、2週間で読めるかな、どうしようかなと迷いながら、ゲームボーイで遊んだりビデオを見たりして“無為に”日を過ごす。

こういう時は大体、「読みたい!」と心底思っているわけじゃない場合が多い。
ちょっと言ってみただけ、という感じ。

何を読むか決まらないまま、ぐうたら過ごしていたある日、「やっぱ、苦しみ悶える雷蔵はそそるよなぁ」とニヤけて「市川雷蔵名場面集」というビデオを見ていた私。雷蔵ってタレ目がちで決して私好みじゃない顔なんだけど、にも関わらず、好きみたい、私。とりわけ苦悶の表情にはグっとくる。その次に美しいのは、冷酷な雷蔵だな。で、「あっ」とひらめく。雷蔵が主演した映画“大菩薩峠”の原作小説を読もう! そうしよう!
今度は、はっきりと自分の気持ちが「決定」と垂れ幕をおろしたのが分かる。読むぜー、「大菩薩峠」。

というわけで、中里介山『大菩薩峠』(ちくま文庫)を求めて本屋に直行。
「げー、20巻もあるー(しかも未完)」。

『大菩薩峠』の主人公は、机竜之介という名前なのだ。つくえ、なんて可愛い名字。だけど、何考えてるんだか分かんない冷酷なところがある男なのだ。すごく面白くて、ぐんぐん読めるのだけれど、何たって20巻。締め切りに間に合いそうにないので、ズルして映画を見ることにする。

というわけで、映画「大菩薩峠」を求めてレンタルビデオ屋に直行。
無いじゃないか、雷蔵のが。貸し出し中で無いんじゃなくて、ビデオ自体、無い。なんちゅう店だ。とにかく時間が無いので、しようがなく片岡千恵蔵版「大菩薩峠」を借りる。
これがもう。千恵蔵と机竜之介のイメージがかけ離れていて、目まいが。千恵蔵は、唇が薄いってのは良いのだけれど、ほっぺたがぷっくりしているからなぁ。ぷっくりしていて冷酷な男、ってのはむしろギャングの親分向きじゃないか。刀を差した一匹狼、ってのはやっぱり細面なんじゃないのか。どうもノれなくて1本目で挫折。原作が原作なだけに映画も3部作になっていて、私が原作で読めなかった部分をカバーするには2作目の後半くらいからが必要なんだけど。

で、小説を完読しないままリミット。読んだところまでで原稿を書く。我ながら情けない。

ちくま文庫の『大菩薩峠』の表紙が、雷蔵ってのがいけない。放駒の紋が付いた着流し姿がセクシーで、伏し目&流し目で冷酷な雷蔵ってのが。20巻に一瞬ひるんだにもかかわらず、表紙の雷蔵で即買いしてしまった。
あの表紙が千恵蔵だったら、吉川の『新・平家物語』に即変更したな、絶対。16巻だし。

読み残した分は、今も少しずつ読んでいるところです。


□九月(?)某日

前回見た映画「十三人の刺客」にちなんで、「七人の侍」も見直す。やっぱり面白い。2、3日後、TVの「ダウンタウンDX」で宇津井健が、「七人の侍」に出たと発言、そのシーンが流れた。見たばかりだったこともありはっきりと覚えていた場面だったのに、気付いていなかった。でも…やっぱり分からなかった。


□十月某日

ワイドショーでチラっと見た「ラストサムライ」という映画の製作発表。来日した主演のトム・クルーズをはじめ、渡辺謙など共演する俳優が並ぶ中に、福本清三さんを発見。おおーっと思う。斬られ役を演じて40数年、大部屋俳優として活躍する彼の人生の聞き書き本『どこかで誰かが見ていてくれる』(集英社)は面白い本だった!


□十月十四日

時代劇ブーム到来!?「テレビブロス」も時代劇特集を組んでいたし、秋の月曜ドラマはすごいですよ。まずは本日、夜7:00から「子連れ狼」がスタート。見るぜーと意気込んでいたにも関わらず、録画し忘れ見逃す。主演は北大路欣也、ってのがひっかかっていたのだが、そのせいか!? 超映画通の友人が「ロード・トゥ・パーディション」という映画を見て以来、「子連れ狼」に興味を示しているのが興味深い。
引き続き8:00からの「水戸黄門」。黄門さまが里見浩太郎に。


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