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第10回 | |
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■虎でも猫でも、尾は踏むな 能の「安宅」をもとにした歌舞伎の「勧進帳」がベースになっている。 最近、三沢と冬木の男の友情に感動した男気フェチの私がおすすめするんだから、この映画のポイントは当然!「男同士、瞬時に気持ちが通じ合う様子」。“瞬時に気持ちが通じ合う様子”ってのは、男に限らず人と人の関係として、何ともいいもんだ。まさに当人たちだけの“聖域”という感じがするところがさ。友情とは少し違って、相手の男気を瞬間的に見抜いて男気で応える、しかも刹那的な出会いの中で交わされるところがこれまた男気溢れていいじゃないか。 さて「進むか退くか」。義経の家来6人、弁慶(大河内伝次郎)、亀井(森雅之)、片岡(志村喬)、伊勢(河野秋武)、駿河(小杉義男)、常陸坊(横尾泥海男)が出した結論は“進む、しかし穏やかに”。 義経一行を代表する弁慶と対峙するのは、関所を守る富樫(藤田進)と、頼朝と義経の不和の原因を作った梶原景時の使者(久松保夫)。(関係ないけれど、この使者役の久松保夫の顔は、すごい作りかただ。池上遼一の劇画顔。最近ので言うと「ビッグコミック スペリオール」連載中「HEAT」の“勝男”だ。) 山伏というだけで弁慶たちをハナから疑ってかかり(当たりなんだが)、興奮したドーベルマンのような勢いで「ひっとらえーい」と叫ぶ使者。一方の富樫はちと違う態度。弁慶と富樫のやりとりは名場面だ。 全てを聞き終えて富樫。疑いをかけたのは不覚、お詫びに勧進の品々を差し上げたいと申し出る。そんなことより一刻も早く通り抜けたい弁慶。我ら山伏は後日また、ここを通る予定なのでその時に頂きましょうと答え、いよいよ、関所を通り抜けようとする。その時! まてぃ!と叫ぶ勝男、ではなく使者。その強力(義経)が怪しい、頭にかぶっている笠を脱げ!と食い下がる。大ピンチ。ここで弁慶のとった行動とは。詳しく言う野暮は避けるが、弁慶、本物の強力、そして富樫の男気大爆発だ。はっきり言って“しゃーしい”使者に、富樫がとどめの一言“ここの関守は俺なんだよ!” はっはっはっ、と笑いながらやってくるのは義経一行。無事に関所を通り抜けて緊張から解き放たれ朗らかな様子。すると、彼らの後を追って、富樫の使者らがやってくる。すわ何事!?と思えば、さっきのお詫びに「粗酒ひとつ持参つかまつりました」。富樫が酒を持たせてよこした使者であった。というわけでその場で宴会スタート。もう一献、もう一献と勧められるままに弁慶もぐいぐい飲む、みんなも飲む、強力もおこぼれにあずかっていい気分になって舞い踊り……ふと強力が目覚めると誰もいなくなっていましたとさ。 弁慶が、後日またこの関所を通ると言ったはずなのに、富樫がなぜ酒を持たせて使者をよこしたか、その男気を考えると涙が出ますな。弁慶がその意味に気づくときの顔、無言だけど顔がいいんだ、これがまた。 追伸 |
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