第8回
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■謹賀新年 新春特別企画「暴れん坊将軍」
 〜丹下左膳フェア最終回は、ちょいと待ってね〜

遅れ馳せながら明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしく。
昨年秋の「丹下左膳キャンペーン」をほったらかしにして、今まで何をしておったのかと申せば、テレビ。テレビなのだ。私、かねてより熱望していたケーブルテレビを導入。

つ、ついに。WWFをこの目で見る日がやってきた!今まで「週刊プロレス」の記事で読むことしかできなかったWWFをさ!

ちなみに、このWWF。パンダマークの世界自然保護基金(World Wide Fund for Nature)ではなく、アメリカのメジャープロレス団体WWF(World Wrestling Federation)のこと。昨年は、このWWFの内幕をドキュメンタリータッチで描いた映画「ビヨンド・ザ・マット」が日本で公開された。福岡市ではミニシアター単館でのレイトショーのみだったが連日大盛況であったらしく、最終日に行った私なんて受付で「補助椅子でよろしいですか?」と尋ねられ、(高速バスなどに設けられているような補助椅子があるのか、この映画館。ほほぅー)などと感心して中に入ると、それはただの「丸いす」であったのだけれど、そんなことはちっとも気にならない面白さであった。

WWFは、自らカムアウトしているように、試合は脚本に沿って行われている。誰かと誰かが闘うにあたっての背景などをドラマ仕立ての映像で見せるため、プロレスファン以外の層にもアピールしまくっている。私なんて「これはお芝居」と分かっていながら、ストーリーの行方にものすごく気をもんだりしてしまうほど。
かといって、プロレス自体が全くいい加減というわけではないと私個人的には思うので、格闘技として楽しめる部分もあるし、会場の雰囲気、レスラーの入場シーン、コスチュームなどド派手な演出も楽しいし…と、WWFが掲げるコンセプト「スポーツエンターテインメント」の、いいカモになっている。月、水、金、土、日と放送されるWWFの番組を心待ちにカレンダーをめくる日々を繰り返していたら、あっという間に年が明けてしまった。そして来る3月1日、WWFが横浜アリーナにやってくる!

というわけなのだが、WWFの試合が無い空き時間。さてどうやって過ごそうかとジリジリしながらチャンネルを変えていると、一瞬、やけに若い松平健が通り過ぎるケース多し。
どうやら、ケーブルTVの「時代劇専門チャンネル」で「暴れん坊将軍」が毎日放送されており、1日3回、日曜日には1週間分まとめて6時間ぶっ通し、という念の入った再放送体制がとられているため、チャンネル変更中の「時代劇専門チャンネル」通過時、松平健にぶちあたるケースが多いのだ。そのサブリミナル効果により、ある日、私はついに、松平健の顔でチャンネルをとめることとなる。

で、初めて知ったのだが「暴れん坊将軍」って長寿番組なんですね。昨年、地上波で放送されたのが第11シリーズだったが、20年以上前から続いているのだそうだ。20年といえば、私が小学校、中学校、高校、大学と呆然と学業を修め、就職し、社会の現実に直面してちょいと失望したりしたけど気を取り直して人生ノン気に行くぜ、と思ったりするくらいの期間だ。その間、松平健は、ずーっと暴れん坊将軍だったんだなぁ。

お話の舞台は江戸時代。八代将軍の吉宗(松平健)は、良い政治を執り行うためには町のことを知らねばならん、と、お忍びで江戸の町に繰り出す。町にいるときは、貧乏旗本の三男坊、徳田新之助ということになっており、旧知の辰五郎(最初は鳶職人の頭領で、後に町火消しの“め組”の頭となる)のとこの居候ということになっている。で、何か事件が起こると首を突っ込んでいって、悪い奴等をやっつけるという物語だ。話の基本的な流れと吉宗が独身だってことは、ずーっと同じ。したがって、見どころ、可笑しなところもずーっと同じだが、これが多数ある。いちいち書き出したい気持ちはやまやまだが、今回は以下の2つに超厳選してみました。

●「俺は天下の風来坊。貧乏旗本の三男坊、徳田新之助だ」

たとえば、町民に乱暴をはたらいている旗本を見つけ、「よさないか」などと止めに入った吉宗。「きさま、何やつ」と問われたときの返事は大体、これ。「俺は天下の風来坊」で以下を省略する場合も多々あり、つまり吉宗としては「天下の風来坊」を名乗りたい様子がいかにも世間知らずという感じ。そんなこと言われたら相手も「は?」と聞き返しそうなものだが、そのようなやり取りに発展しないところを見ると、相手としては別に吉宗が誰であっても関係なく「聞いてみただけ」といったところか。

●「う、上様!」

たとえば、といっても、大体、悪の根源は、吉宗が日頃、お城で顔を合わせている部下の勘定奉行だったりする。物語もクライマックス、悪巧みを阻止すべく乗り込んでいく吉宗。おまえらの悪事は断じて許さん、なんて言いながらね。
そこで勘定奉行「きさま、何やつ」。吉宗「余の顔を見忘れたか」。
今朝、会ったやろ(お城で)、という場合でも、むむ?と考え込む勘定奉行が吉宗をじっと見つめたところで、フラッシュバックするのは、お城で拝謁した将軍の顔。はっ、と気付き「上様!」。で、一度は「ははーっ」と平伏するが、その後、
「こんなところに上様がいるわけないやん。こいつはニセモノ。斬れ、斬れ〜ぃ」
「悪だくみがばれたとあっちゃ上様でもしようがないぜ、斬れ、斬れ〜ぃ」
のどちらかのセリフを叫び、結局、斬り合いになる。

この時、勘定奉行の脳裏にフラッシュバックするお城での吉宗の顔には、キリッとしているバージョンと、ぼーっとしているバージョンとがあり、ぼーっとしている吉宗を見ることができたりすると、何だか「へへ、今日はラッキー」な気分になるということもあり、毎度おなじみのシーンながら実は気が抜けない瞬間である。

ケーブルTVでは、昨年が第1シリーズ、今年に入って第2シリーズを放送している。が、なんといっても第1シリーズが断然面白い。ビデオになっているのかどうか分からないのだけれど、是非、興味のある方は、第1シリーズを見る機会を得られたい。
というのも、松平健が一番かっこいいのが第1シリーズなのだ。今となっては信じられない細さで、役どころ同様、世間ずれしていない感じがにじみでているのが最高にいい。
それから、「暴れん坊将軍」のストーリーの必殺パターンを模索し、見つけ出したのが、この第1シリーズなのだ。思い付きでいろいろやってみていますという自由で流動的な緩さが、結構、話に切迫感を醸し出していて、以降のシリーズよりも断然面白い。必見。
ところで、松平健。舞台公演という活動をなさっているようだ。前半が暴れん坊将軍劇で、後半が歌謡ショーらしい。見に行った知り合いによると、その歌謡ショーだけでしか見ることができない「松健サンバ」なる曲があるんだって。ド派手な着流しでサンバを踊る…と言うのだが、本当なんでしょうか。今年、博多座に来たら、見に行ってみようか知らん。

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