第6回
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■ 秋の“丹下左膳”フェア〜

『丹下左膳 妖刀濡れ燕』
昭和35年
カラー
1時間19分

主演:大友柳太朗

秋。と言えば、サンマにファッション。
で、時代劇回転の星が選ぶチャンバラ界ベストドレッサー賞2001・男性の部は、丹下左膳さんに決定!(次点、旗本退屈男さん)。
白地に黒い襟の着流し、裾からチラリとのぞく女物の赤い長襦袢という取り合わせは、酸いも甘いもかみ分けた男ならではのフェロモン大放出で、素敵ないやらしさ溢れるセクシーコーディネイト。さらに、白地の着流しに「不邪淫」など十戒らしき言葉や凡字らしきが黒々と描かれた迫力のデザインと、上品なモノトーンのコントラストがお洒落!コム・デ・ギャルソンみたい!

という丹下左膳の「妖刀濡れ燕」が今回のお題。

事の起こりは、奥州・相馬藩(福島県のあたり)が、藩内の不始末に目をつぶってもらうべく、江戸の老中へ賄賂として送る藩金。この手のお金は、道中の用心が肝要だ。盗まれても表沙汰に出来る金じゃあるめぇと狙われるわ、賄賂反対!な人からは江戸に届くのを何としても阻止してやると狙われるわで、横取りしたい人、邪魔したい人、守る人…いろんな人の思惑が、このお金にまとわりつく。

狙ってる人たちとは…
まず、藩金の護送を相馬藩から頼まれた根来一角(演じるのは月形龍之助)。江戸でも有名な伊庭道場の師範代である一角、門弟をひきつれて相馬藩へ向かうが、その心は「素直に護送する手は無い」。虎視耽々なのである。
そして、相馬藩内部には、藩金奪還をもくろむ天野伝八郎(岡田英次)一味というグループもいれば、豊臣残党も藩金を狙っているしで、もう“相馬藩金大争奪戦”の様相なのだ。

邪魔したい人とは…
相馬藩には、実は賄賂反対派もいる。そんな相馬藩の役人が、丹下左膳(大友柳太朗)のところにやってきた。左膳は、今でこそ江戸のトンガリ長屋に住む浪人だけれど、元は相馬藩の家来。そこで、相馬藩のために賄賂なんてことは止めさせてくれ、と頼まれる。「相馬藩に恩義なし。藩のためならまっぴらごめんだが、銭のためならノらんでもない」と左膳。取り引き成立。で、藩金輸送を邪魔するべく相馬藩へ向けて旅立つ左膳。

その他には…
金の横取りをもくろむ根来一角を止めるべく、伊庭道場のお嬢さんが、お伴に源之助(大川橋蔵)という男を連れて、江戸を発ち相馬藩へと急いでいるし、この一件に感づいた大岡越前(山形勲)が事の収拾を図るべく蒲生泰軒(大河内伝次郎)という男を現地へ向かわせているし…と、いろんな人が藩金のところに大集合。

悪事を企む人と、阻止しようとする人の入れ子状態、マトリョーシカなお話であります。

話の卓越した面白さはもちろんなのだけれど、なんといっても丹下左膳。私のアイドル・丹下左膳。
賄賂の藩金が江戸に無事到着しようが盗まれようが実はそんなことどうでもいい左膳なのであった。話の筋とはあさっての方向を向いて(いるように見える)大暴れする主役・丹下左膳の、成熟した純情さ&エキセントリックな魅力に熱狂されたい。左膳の魅力全開セリフをここに厳選しよう。

●「おはよう!毎度お邪魔してまことにすまねぇみたいなもんだが…」

藩金護送(のフリ)中の根来一角らが、ある日、朝ご飯をとっているところに、左膳が大股でズカズカと近寄ってきて言ったセリフがこれ。
藩金輸送の邪魔をするにあたって、護送の目録レベルの武士を斬ったら6両、免許持ちの武士を斬ったら8両もらえる約束になっている左膳。毎日のように根来一角らの前にババーンと登場、何人かを斬って“よし、40ウン両。今日の分は稼いだぜ、んじゃまた明日な!”と去っていくのが可笑しい。

●「俺の濡れ燕は気が短けぇんだぜぇ」

左膳の刀は、愛称“濡れ燕”。で、これは、いうこときかないやつに対して左膳が言ったセリフ。
決めゼリフの定番な言い回しかもしれないけれど、つい、はしゃいでしまいます。「天下御免の向こう傷」には、ちっとも感じないのだけれど。

●「俺にも斬らせろーーーーっ」

話も佳境、悪い人とイイ人が対決しているところに駆けつけた左膳のセリフ。イイ人に加勢してる左膳なのだけれど、「大丈夫か」とか「お助け申す」じゃないところが断然イイ。

●その他には、剣の腕がたつ人物とあいまみえるたび、それが敵であっても「味があるぜ」とか「こたえられないやろうだなぁ」との発言を繰り返すあたり、潔くて良い。

それで、藩金はどうなったのかというのは見てのお楽しみということで。ニヤリな結末。

まだまだ続くよ「丹下左膳フェアー」。
この話の中で、元家来なのに「相馬藩に恩義なし」と言い切った丹下左膳。次回、その心情のバックボーンが明らかに!左膳が隻腕隻眼になった理由も!待て、次号。


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